Q&A

Q1.プロジェクトの目的はなんですか?

私たちにとっての最大の目標は、「福島の人びとが震災・事故後の生活を幸せに送るための一助となること」です。 

この目標の障壁になっている問題はたくさんあります(医療機関の少なさ、農家の後継者問題、人口減少、生活インフラの整備など)。このうち、私たちのプロジェクトは、誤った情報の拡散や、不安の過度な助長、差別や偏見、またいわれのない中傷などをなくすという役割を担います。 

20113月の東京電力福島第一原発事故の後、福島では、「風評」という言葉で表現される問題が2つありました。 

1つ目は、福島の農作物や魚介類などの値段が下がったり、観光客が減ったりする経済的損失です。 

2つ目は、社会不安を煽り、福島の住民などの精神衛生を損ない、ときには差別やいじめのような深刻な事態にもつながるような言説です。 

この2つに共通している問題は「科学的に正しい知見に基づいていない」ということ、そして「経済的損失や深刻な心理的ダメージを生む」(有害である)ということです。 

そして、2つ目の「風評」は、行政による予防措置もとりにくく、また一人ひとりの心の傷は目に見えにくいために「なかったこと」にされやすいものです。 

当プロジェクトは、見過ごされやすい2つ目の「風評」をメインに扱います。 

1)実際に起こった「風評」を可視化し、被害の状況を明らかにすること。

2)(1)を予防するために、科学的に正しい知見を伝わるように伝えること。

3)(1)によって実際に心に傷を負ってしまった人や、不安を抱えて葛藤する人などを含む、一人ひとりが幸せな生活を送るための道を、広く福島県内外、そして国内外の智慧を出し合って、共に考えること。 

この3つが、プロジェクトの具体的な方針です。 

運営者の思いについては、「Fact Check 福島について」をご覧下さい。

Q2.福島についての科学的な安全性は、この先何十年も経たなければわからないのではないでしょうか?

福島の環境や県産品、住民健康に対する放射線被曝の影響については、すでに科学的に明らかになっていることがほとんどです。(基礎知識コーナー 

当プロジェクトでは、「基礎知識」コーナーのほか、「記事・寄稿」コーナーでも、これまで科学的に明らかになったことについて、専門家の監修を受けながら紹介しています。 

これらの知見は、福島に生きる人々の努力によって達成され、また多くの人々の研究によってわかった貴重な事実です。

Q3.「科学的に正しい」ということが、「今も不安」という人々をないがしろにすることにつながりませんか?

「科学的に正しい」(科学的に明らかになった)と聞いても、「それでも不安」「どうしても怖い」と感じることは、当然のことです。 

そして、「不安」や「恐怖」は、人間にとって、肉体的な傷と同様に深刻な脅威であることが近年精神医学的な研究でも明らかになっています。 

当プロジェクトは、こういった「不安」や「恐怖」を軽視するものでは絶対にありません。むしろ「放射線被曝による健康影響がなかった」ということと並行して、「放射線被曝を不安に思うこと」を、「福島の人びとが幸せな生活を送る」という大目標のためにも、解消されるべき深刻な問題と考えています。 

そして、「不安」や「恐怖」を感じずに、人間が幸せに生活を送るための第一段階は、「今、ここが安全である」と理解する、ということです。 

当プロジェクトは、まず「今の福島で生活することは安全である」という科学的に正しい理解をしっかりと築きます。

Q4.知識が不足しているために、誤った情報を拡散してしまうことは許容されるべきことなのではないでしょうか?

まず、当プロジェクトの目標は、「風評」の糾弾ではありません。 

「風評」および誤った情報の拡散は、拡散の可能性が正しい情報よりも70%高く、スピードが6倍であるという、マサチューセッツ工科大学による研究結果があります。(The sciensce of fake news David M. J. Lazer, et al.  

これほど強力な「風評」の拡散力を抑えるためにも、安易な拡散を控えることを呼びかけたいと考えています。 

どうぞ、「基礎知識」をご一読の上で、情報を拡散するなど「シェアの前に、ちょっと待つ」という支援をお願い致します。

Q5.具体的にはどんな方法で問題解決をするのでしょうか?

1)過去~現在の「風評」事例を精緻に検証し、記録します。

2)科学的に明らかになったことと(1)を紐づけ、誰にでも参照できるようにします。

3)さらに、さまざまな分野の研究者や現場の方々、住民の方々にインタビューをし、「今、ここ」の福島の状況を共有できるようにします。

Q6.インターネット以外へのアプローチもするのでしょうか?

イベントやマスメディアでの情報発信、政治・行政への働きかけ、地元企業等による風評払拭への取り組みなどにも少しずつアプローチしていきます。

Q7.「ファクトチェック福島」は原発に対して推進、反対いずれの立場をとっているのですか?

プロジェクトとして、原子力政策への態度は定めていません。ただし、電力業界や原発を推進する政府・行政から金銭的、人員的な支援は一切うけません。

コアとなるメンバーや支援者、クラウドファンディングの協力者の中でも様々に見解がわかれることでしょうが、現に困っている人が存在する、当プロジェクトの大目標である「福島の人びとの幸せな生活」の達成のために、私たちはまず放射線に関する「風評」を解決することを目標とします。

Q8.「ファクトチェック福島」には右翼的な思想があるのではないでしょうか? あるいは、政府や東京電力(一部大企業)を利するためのプロジェクトなのではないでしょうか?

日本における「右翼」、あるいは「左派」、「リベラル」についての問題と、福島第一原発事故後の「風評」問題には関連があるという指摘があります。とても重要な指摘であるという認識です。 

この点について、明確に可視化できるような記事を掲載してまいります。 

また、当然ですが、当プロジェクトは、政府や電力業界からの資金提供は一切受けておりません。

Q9.「過剰なデマ叩き」は「福島にかかわることが怖い」という印象をもたらし、分断を助長するのではないでしょうか?

当プロジェクトは、「糾弾」を目的としたものではありません。 

「風評」の記録の際、編集部と監修者などが集まり、すべての記事について精緻な検証を行い、字義の定義を議論し、中立性と冷静な立場を保つことに全力を傾けております。 

1周年を迎え、さらに中立性を厳しくした編集基準にて、これまでの記事の見直しを行いました。 

今後もお気づきの点がございましたら、ご意見をお寄せください。

Q10.当事者ではない人が意見を述べてもいいのでしょうか?

「福島の人びとの生活が幸せになるためにできることはないだろうか」と思ってくださったあなたは、すでに当事者です。 

多彩かつ活発なご意見をお待ちしております。

Q11.身近なところで「風評」はないように見えます。過去の「風評」を掘り起こさない方がいいのではないでしょうか。

被災した人の中には、「今さら不安だと言えない」「今さら『あのとき傷ついた』と言えない」という人が多くいます。

また、2018年に三菱総研が行った調査では、都民の約50%が「福島では次世代への遺伝的影響がある」と回答しています。

「風評」は、「ない」のではなく、「見えない」というリスクがあります。

誤った認識のまま風化し、固定してしまった可能性もある過去のものも含めて、精緻な検証と記録をすることが重要だと考えています。

Q12.誤情報を見分ける方法はありますか?

「ファクトチェック福島」では、「UNSCEAR2013年報告書」をはじめ、世界中の自然科学的な合意、また公的な統計などに基づいた知識を、できるだけわかりやすく伝えていきます。もし、それでもよくわからない場合、いつでもお問い合わせください。 

また、ファンクラブ会員に加入していただければ、Facebook上でリアルタイムの意見交換グループへのご招待もいたします。

Q13.プロジェクトに協力するためには、どのような方法があるのでしょうか?

ご寄稿や寄付、またどのようなかたちでも、ご協力いただける方を歓迎します。ぜひご連絡下さい。(お問い合わせページ寄付ページ 

また、サイトをご覧になって「伝わりにくい」「難しい」などのご意見や疑問も随時お寄せください。