「放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか?」と市議がツイート

2018年3月20日

2012年5月24日、群馬県桐生市の市議(当時)が、「献血の車が止まっているけど、放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか?」とツイートしました。

経過

・当該ツイートには数多くの批判が寄せられましたが、市議(当時)は「訂正も謝罪もしない」「献血量が激変しても仕方がない」などと応じず、

桐生の大地は放射能で汚染されました。大地が汚染されたのですから食物連鎖で放射性物質は移行し、私たちの健康に影響を与える事は明らかです。……放射能はどんなに少量でも健康に影響があるという考え方に立って、私たちが愛してやまない子ども達を放射能から守ることをすべき……。

と発言を正当化しました。

「放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか?」ツイートとその反応
https://togetter.com/li/309532

・6月10日、市議会が懲罰動議を提出したほか、過去の発言について、農業組合や地元企業、町会長などから計5つの辞職を求める要望書・要請書が提出されました。

この発信は、献血に対する安全性の確認もせず、ただいたずらに市民・国民を混乱させ不安を煽るものであり、これらはまさに、原子力発電所事故由来放射性物質飛散に苦しむ地域の人たちに対する人権侵害とも思われる差別発言である。また桐生市は放射能汚染地域ではなく、放射能汚染状況重点調査地域であり、このような誤った発信・発言により一般市民は、大きな誤解と混乱を招き著しく誇りを汚され、深く傷ついている。

庭山由紀議員に対する懲罰動議全文です。(「桐生市議会議員 森山レポート」2012.6.11)
http://takahiromoriyama.blog69.fc2.com/blog-entry-417.html

「クソ教育委員会」「うんこたれ」「ばーか」 「懲罰動議」庭山・桐生市議の「超過激」発言録 (「J-CASTニュース」2012.6.12)
https://www.j-cast.com/2012/06/12135382.html

・6月20日、桐生市議会は市議(当時)の除名を求める懲罰動議を可決し、市議(当時)は失職しました。

庭山議員を除名 桐生市議会「公人として不適切」(「MSN産経ニュース」2012.6.21)http://web.archive.org/web/20120621171624/http://sankei.jp.msn.com/region/news/120621/gnm12062102060004-n1.htm

感謝と決意(3)(「由紀日記」2012.6.20)
http://niwayamayuki.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-b349.html

・元市議はその後、2015年にも、

今でも聞きたい。放射能汚染地域に住む人の血って、ほしいですか?

とツイートしています。

情報の検証

・市議(当時)の「放射能で汚染された」「放射能はどんなに少量でも健康に影響があるという考え方に立って」などの言葉には、リスクに対する量の概念がまったくありません。放射線に限らず、身の回りのあらゆるものについて、量次第でリスクが必ず存在します。それぞれのリスクを公正に判断にするためには量の概念が不可欠です。

また、地球上にはもともと放射性物質が存在しており、放射線がまったくない場所はどこにもありません。日本国内の居住が制限されていない地域での日常生活で、健康被害を与えるほどの被曝を受けることはありません。リスクが通常と変わらない土地を汚染地呼ばわりするのは間違いです。

・「食物連鎖で放射性物質は移行し、私達の健康に影響を与える事は明らかです」とありますが、ここにも量の概念がありません。原発事故後の日本では、一般食品に対する放射線基準値は暫定基準値で500Bq/kg、その後現在は100Bq/kgとされており、これはアメリカの1200Bq/kgなどに比べても非常に厳しい基準値です。この基準値以内の食品を摂取しても、健康に影響を与えることはありません。