福島県の放射線の空間線量は高いのか?

2017年12月22日

空気中や地面などに含まれる放射性物質による放射線を受けることを「外部被曝」といいます。この外部被曝の量を知るために、一人ひとりが身につける「個人線量計」があります。 

また、ある空間における放射線の強さを「空間線量」といい、空間線量を1時間あたりに換算した目安を「空間線量率」といいます。空間線量の目安を把握するために、福島県には3700ヵ所前後のモニタリングポストやリアルタイム線量計が設置され、リアルタイムで公開しています(これらの計測値は空間線量率です)。 

ちなみに、実際には、人は1日のうちの多くの時間を屋内で過ごしたり、また別の場所に移動したりもしながら日常生活を送っています。屋外のある地点に設置されたモニタリングポストなどの計測器が目安として示す空間線量率は、個人線量計が示す個人の外部被曝線量よりも高くなります。 

20113月の福島第一原発事故後、福島県における放射線の空間線量は下がり続けています。空間線量が下がったおもな原因は自然減衰、また風雨などによる流出効果(ウェザリング)で、さらに国や自治体によって除染が行われたことも一因でした。 現在の福島県内の多くの地域では、年間追加被曝線量1mSvを超えるような状況ではありません。

 

福島第一原発事故によって飛散したおもな放射性物質はヨウ素131とセシウム134、セシウム137です。ヨウ素131の量は約8日で半分に減り、原発事故から6年以上が経過した2017年現在ではほとんど見つかりません。セシウム134は約2年で元の量の半分になり、セシウム137は約30年で半減するため、現在の空間線量はセシウム137によるものと考えられます。  

2015年に福島高校の生徒とベラルーシやポーランドなどの高校生が共同研究し、早野龍五・東京大学教授(当時)の助力を得て発表した論文によれば、これらの海外と福島市、郡山市などとの空間線量に大きな差はないことがわかっています。 

また、南相馬市立総合病院・坪倉正治医師による指導の下、南相馬市が2017年に、富山県、岐阜県、広島県の職員と同様の個人線量計を2週間身に着けて日常生活を送り、外部被曝線量を測定しました。その結果からも、これらの3県と福島とでは空間線量に大きな差がないということがわかっています。

参考リンク

Measurement and comparison of individual external doses of high-school students living in Japan, France, Poland and Belarus—the ‘D-shuttle’ project—
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/0952-4746/36/1/49;jsessionid=06670BFBA539A515A92414D644E2374C.c4.iopscience.cld.iop.org