トリチウムは危険な放射性物質なのか?

2017年11月28日

2014年に多核種除去設備(ALPS)が導入されたことによって、福島第一原発の汚染水から62種類の放射性物質を除去できるようになりました。このALPSで唯一除去できずに残る放射性物質が「トリチウム」です。 

「三重水素」という水素の一種であるトリチウムは、おもに水として存在し、わたしたちが飲む水道水にも含まれています。宇宙線が大気圏上層の空気に当たることにより、年間約7京ベクレルほど生成し、原発事故前から、雨に1ℓ当たり約0.51.5ベクレル含まれていました。トリチウムは水素と化学的に同じ性質を持つため、体内に入っても尿とともに排出されます。 

トリチウム水は通常の水と同じ化学的性質をもつため、水から分離することができません。分離するためには、水素とトリチウムの重さの違いを利用して、蒸留や電気分解などを何十回も何百回も繰り返すほかありません。そのために要するエネルギーは、あまりに膨大です。 

1ベクレルのトリチウムがもたらす内部被曝は、1ベクレルの放射性セシウムがもたらす内部被曝の約1/1000しかありません。海水に混じればたちまち希釈されてしまいます。そのため、国の放出基準以下の放射能濃度で排水しても、海水中に存在する天然のトリチウム(1ℓ当たり約1ベクレル)をほとんど高めないと考えられます。 

福島第一原発事故前のトリチウムの放出基準値は22兆ベクレル/年、法規制の濃度限度は6万ベクレル/Lでした。現在は、トリチウムを含んだ地下水を海洋放出するために、法規制の濃度限度6万ベクレル/Lよりも十分に低い1500ベクレル/L以下で運用するように自主規制されています。 

いったん原子炉建屋に入って汚染水となった後にALPSで処理した水については、現在も処理の方針が決まっておらず、福島第一原発構内の膨大なタンク群に蓄えられ続けています。このまま処理済み水が増えた場合、タンク増設のための土地の確保や、タンクの老朽化による思わぬ漏水などが懸念されています。

参考リンク

サブドレン及び地下水ドレンの運用方針の基本的な考え方(案)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101364.pdf


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